読書

森博嗣「S&Mシリーズ」読了

別にミステリを求めて読み続けた訳ではない。各作品に宮部みゆきの作品のような引き込みの強い導入があったわけでもないし、それどころか作品中のどこを読んでも内容の濃度は比較的均一だと思う。序盤も中盤も事件の解決編も、どこが熱いというわけでもなく…

半落ち読了

代わる代わる主人公、そのたびに繰り返し強調される「なぜ?」男達の熱い疑問が最初は旨いと思っていたが、主人公達が皆同じようなカウンターカルチャ的性格、加えて悪人らしい悪人が誰ひとり出てこないので食傷した。 本書を読んで「感動した」人の中には「…

「理由」読了

犯人と思しき人物がうちの旅館に泊まっている、と女子中学生が近所の交番に通報しにくる所から始まる。タイトルと併せて、事件が起きた理由を追う話なのだな、とわかる導入でやはり最初に引き込まれた。 表紙では夜の高層マンションをバックに大きな文字で「…

スカイ・クロラ

シリーズ時系列上では最初の話だという「ナ・バ・テア」を読んでから映画を観た。ティーチャの強さに大満足、けど顔が出てないから映画だけ観たら "絶対勝てない感" がどの程度だったかはわからない。映画中のクサナギはメンヘラにしか見えない。確かに小説…

「火車」読了

ちょっと新宿まで行って来るのに電車内の読み物を忘れたので買って読み始めたが最後、読了まで丸一日読みつづけてしまった。「負い目があると執着してしまう」という座ったほうが楽なのに座らない主人公、思い出した万引きの女子校生、のあたりの導入効果が…

「カラマーゾフの兄弟」読み始め

これって最近話題の新訳なのか旧訳版なのか? 買ってしまってから気になったけれど、どうやら旧訳らしい。評判通りの面白さなら新訳版も読んでみたくなるかもしれないし、まあいいか。どちらにせよ原著でないことに変わりはないのだし。 久しぶりに文学ど真ん…

「まどろみ消去」読了

私はどうやら短編よりは長編の方が好きらしい。これはたぶん文字量の問題というよりは文体の問題だと思う。登場人物の名前が軽妙なカタカナ表記になっていたり、きちんとオチがついている短編は気持よくひらひらと読めてしまうが、やはり旅するように読み進…

「封印再度」読了

前作もそうだけど、主人公が事件発生時に居合わせた方がやっぱり感情移入できるなあ。とはいえ、そうでない方が導入としてよほど自然ではあるけれど。「笑わない〜」が解けたことで満足してしまったのか、以降は特に考えずに読んでいる。 森作品では結婚とい…

「詩的私的ジャック」読了

面白かったけど、なんか読み流してしまった。学園祭が舞台の話って何によらず風景のように流して読んでしまう。 私自身も学生時代は学園祭を他人事のように思っていたしな。詩的私的ジャック (講談社文庫)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 1999/1…

「ハイパフォーマンスWebサイト」読了

前から積読気味にパラパラ読んでたのだけど、健康診断を受けに行くついでに読了。これは薄いしWebやるなら読んでおいた方がいい本。開発言語とか全然関係ないしね。 有楽町のパスタ屋でピザ食いながら読んで、店を出ると横断歩道にグレイハウンドを連れて散…

「笑わない数学者」読了

このトリックはすぐわかった。ある意味では事件が起きる前から大筋わかっていたので細部がわかるかどうかが問題だったが、そこまではさすがに無理だった。それより「ビリヤードの玉問題」の方が難しい(>笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)作…

「冷たい密室と博士たち」読了

推理小説というのはいつも解こうとして途中であきらめて先を読んでしまう。大抵の場合は「なんだ、そんな話ならわかる訳ねえよ」となってしまうのだけど、これは読んでから「これなら解けた筈」と思い悔しくなった。 作家によってルールは違うと思う。本作中…

Φは壊れたね

論理的な文章を好むであろう人達(知人/ブログを講読している人)がよく好きな作家として挙げているので前々から気になっていた。作家その人のブログも講読して久しいが、その内容から想像していた通りの無駄のなさ。今までは小説のキャラクタの性格を描写する…

放浪息子(7)

倒錯劇をわざわざ2回目やってしかも主演しなかったり(前巻)、スキー行っても風邪ひいて寝てたり(今巻)して盛り上げ所をわざわざ回避しているのは迷走じゃなくてテクニックなのかと思えてきた。盛り上げないままキャラは立ち、主軸も主演2人に戻しつつ第2次性…

へうげもの(6)

5巻の丿貫登場以後は織部の勘違いっぷりがマンガ的過ぎてちょっと引いてたけど、この巻で各キャラクタの成長を描写するための前振りだったのか。詫び数寄ってわかりづらい概念だから読者のために極端に勘違いしてみせる必要があったということなのだろうか。…